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Zappa In New York / Frank Zappa

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 わたしはあまり聴かないジャンルの音楽でも、この人はちょっとヤバいよ、という人のモノは聴くことがある。フランク・ザッパ (Frank Zappa)もそんなミュージシャンの1人だ。たぶん中学生、もしかしたら高校生のときかもしれないが、名前だけは知っていて、ちょっと聴いた感じの難解そうな音楽と風貌に恐れをなして敬遠していた。そんなわたしがザッパを初めてちゃんと聴いたのが、このザッパ・イン・ニューヨーク (Zappa In New York)だった。

 なぜこのアルバムを聴くことになったかというと、マイケル・ブレッカーである。このライヴ盤にはランディとマイケルのブレッカー兄弟、そしてこのときのザッパ・バンドのドラマーはテリー・ボジオだ。ジャズ・ファンならばいうだけ野暮な話だが、これはブレッカー・ブラザーズの名盤『Heavy Metal Be-Bop』と同じで、このアルバムでの共演がキッカケで『Heavy Metal Be-Bop』が出来たのである。両アルバムともリリースは1978年だが、ザッパ・イン・ニューヨークの方は1976年クリスマス・シーズンのライヴを録音されたものだった。しかしあの当時ザッパはワーナーやマネージャーといろいろ擦った揉んだがあったので78年発売になったのだ。だからアナログ盤の方はCDとは収録曲や曲順も違い、曲も一部がカットされて発売されていた。

 この人も多作な人でオリジナル・アルバムだけで60枚以上、没後にも何枚かリリースされた。このアルバムが発売された78年には、なんと8枚ものアルバムがリリースされている。シアトリカルなコンサートや現代音楽的なインストゥルメンタル等の曲が多いために、コアなマニアは多いが特に日本では過小評価されているミュージシャンだ。また若手ミュージシャンを発掘するのも上手く<ザッパ・スクール>といわれ多くのミュージシャンを輩出した。というのも、ザッパは70年代初期に大ケガをしてから、自分が演奏しなくてもバンドのクオリティが維持できるように、オーディションで演奏に高度な技巧を求めてメンバーを集めたというのも大きく影響しているであろう。

 この『ザッパ・イン・ニューヨーク』でも歌物はシアトリカルでインストは実験的なものを含む高度にテクニカルな楽曲が並ぶ。2枚組で100分弱の作品であるが聴いていて全く飽きない。76年頃のニューヨークがヘルシーで浄化された現代のニューヨークとどれほど違うのかは想像するしかないのだが、少なくても世界一汚いといわれていた地下鉄は、ニューヨーカーでさえ、特に女性などは一人で乗るのが危なくて、死因の1位が殺人だなどという都市伝説のような時代だった。ドラッグも今とは比べものにならないぐらい蔓延していただろう。ザッパは一般的なイメージよりマトモで真面目な人だと思うので、クスリのおかげで名演奏が成り立っていたとは思わないが、少なくても観衆の反応は70年代ニューヨークの感じがビンビン伝わってくる。

 どの曲が1番好きなんだと問われれば、最後の16:41におよぶ大作「The Purple Lagoon / Approximate」であろうか。アナログのときは2枚目のB面が全面これ1曲だった。これはさすがにクスリをぶち込んでいるだろうか、と思わせるほどの凄まじくブチ切れたマイケル・ブレッカーのサックス・ソロとテリー・ポジオのドラムの絡みは圧巻である。その後のザッパのギター・ソロは後からスタジオでオーバーダブされたものだが、確かにこのギター・ソロがないとちょっと退屈なトラックになっていた部分かもしれない。その後ベース・ソロが入り、ランディ・ブレッカーのエフェクトが効いた神秘的でエレクトリカルなトランペット・ソロで絶頂を迎えるという素晴らしいトラックだ。何度聴いてもたまらない。

 最後に帯に記されていた文章で締めたいと思う。

雑排員入浴(ざっぱいんにゅうよく)して生楽(なまたの)し

清掃局員さん今日も御苦労さん。さっぱりと風呂に入って、これを聴きながら生しましょう。

21世紀になっても、みんなで生しようよ。

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