- 2008-12-12 (金) 23:11
- Avant Jazz | Music | Rock
わたしにとって80年代というのは、17~27歳というまさに青春ど真ん中の年代だ。しかし、80年代中頃にほとんどポップスやロックは聴かなくなっていた。では、何を聴いていたかというとジャズ・フュージョンや、このマサカーのようなニューヨーク・ポストモダンなものである。一般的にはあまり聴きやすいとはいえない、2拍4拍にスネア・ドラムがあまり入らないモノが多い音楽達だ。日本ではレコメンディッド・レコードというレーベルから出ていたので「レコメン系」とか呼ばれていた。
マサカー (Massacre)はギターのフレッド・フリス (Fred Frith)がヘンリー・カウ (Henry Cow)を解散後にニューヨークへ移住し、後のマテリアルツ黴(Material)のリズム隊である、ベースのビル・ラズウェル (Bill Laswell)、ドラムのフレッド・メイヤー (Fred Maher)と結成したギター・トリオ・バンドである。そして81年にリリースされた唯一のアルバムがこの『キリング・タイム (Killing Time)』で、わたしが持っているCDはオリジナルより8曲のボーナストラックが加わえられリマスターされた、2005年リリースの国内盤だ。
基本がロフト・ジャズなのにあまりそう聞こえないのは、来年(2009年)1月に来日公演が決まったフレッド・フリスのギターのせいだろう。これが例えばジョン・ゾーンツ黴(John Zorn)のサックスだったら、もっとジャズ色が強くなっていたと思う。フレッド・フリス本人もロックのつもりでやっているのだろうなぁ。5拍子や7拍子という変拍子を多用していながら、ファンキーなビート感があるのがロック的に聞こえるのかもしれない。ちなみにクレジットによるとリマスタリングに際し、「スピードとピッチを修正し、リバーブを除いてある」らしい。そのほうが音は現代的になるのであろう。
ドラムをゴールデン・パロミノスのアントン・フィア (Anton Fier)に代えて行われた日本公演をエアチェックしたカセットはどんだけ聴いただろうか。とにかくあの頃は聴きやすい音楽、癒される音楽なんかを聴いちゃ負けっていうぐらい尖ってたので、こんなんばっか聴いていた。ホントはこのアルバムも追加された8曲のボーナストラックはもとより、オリジナルの曲の中からパリでのライヴを除いた、ニューヨークのスタジオ録音6トラックだけ、もしくはそのアウト・テイクをボーナストラックに加えたヴァージョンのアルバムがあればうれしいなと思う。もちろん未発表の貴重なライヴ音源が、ファンにとってはコレクターズ・アイテムとして資料性が高いというのは理解するが、最近の再発モノは40分そこそこの収録曲では、というのもあるのかもしれないが(今のCDの容量はその2倍の80分)、ちょっと<メタボ>なところもありオリジナルの良さをちょっとマイナスしちゃってるかな、と感じる部分が多々ある。
iTunesでオリジナルのNYスタジオ録音トラック6曲(ちなみに2,3,5,8,10,13トラックで15分に満たない)だけを抜き出し、ちょっと音量大きめのループで聴いてたら、みなさん、これが気持ちいいのなんのって。ちょっと先っちょが濡れた、気がした。そしてジャケットにはこうもクレジットされている、「Play It Loud!(大音量で再生せよ!)」と。出川哲朗さんの言葉を借りれば<切れたナイフ>って感じの音楽だ。そして菊地成孔さんのライナー・ノートも読み応え十分でうれしい限り。菊地さんはペペでマサカーとかカバーすればいいのになぁ。きっとイイ感じだよなぁ。21世紀に大音量でマサカーを聴こう!お勧め盤。