- 2008-11-03 (月) 21:50
- Avant Jazz | Latin | Music
前回のエントリーで子どもの頃の甘~いトラウマのせいで、ラテンのリズムを聴くと条件反射的にワクワクとしてしまう、なんてことを書いたので、この際ついでだってことで、ちょっともったいないけどキップ・ハンラハン (Kip Hanrahan)を出してしまおう。ニューヨークでアメリカン・クラーヴェというレーベルを主宰している総帥で、最近はディープ・ルンバというバンドをやっている、といえば分かる人が何人かいることと信じたい。<ハンラハン>というのはちょっと珍しい名前かもしれないが、父がアイルランド、母がユダヤ系で1954年にニューヨークのブロンクスで生まれた人である。浄化される前のニューヨーク・ブロンクスはラティーノ・コミュニティのど真ん中で、銃声とコンガの音を子守歌に育った、というようなバックボーンがある、そんな人である。
『クープ・デ・トゥトゥ (Coup De Tete)』は1981年にリリースされた、そんなキップ・ハンラハンの1stソロ・アルバムである。意味は<頭への一撃>ということだが、ヘディングシュートによる得点というサッカー用語でも用いられるらしい。フランス語のスラングで<驚くべきもの><予期しなかったような考え>という意味もあるらしいが、当時の音楽産業へ、まさに一撃を与えるようなアルバムであった。どんなミュージシャンがこのアルバムに参加しているかというと、ビル・ラズウェル、アントン・フィアー、アート・リンゼイ、フレッド・フリスやチコ・フリーマン、ジェリー・ゴンザレスにデイヴ・リーブマン、ジャマラディーン・タクマ等々に加え、なんとテオ・マセロも参加している。当時ニューヨークのロフトジャズシーン、ポストモダンシーンでビンビンに尖ってた連中ばかりである。後はキップと一緒にブロンクスで育ったラティーノのパーカッショニストたちだ。このようなメンバーを聞いただけでも、どんな音がするのか分かる人には分かると思う。
こんなアルバムではあるが、キップ・ハンラハンも制作当時自覚していなかったということだが、全曲ラブソングなのである。インストの曲もあるが、どんな詞なのかちょっと紹介すると、
踊りなさい舌から舌へ 影から影へ時から時へ
私の腕の中であなたの身体は 別の身体を創り出す
変わった痛みが欲しい時
あなたはいつもそばにいて 私を愛してくれた
踊りましょう言葉を脱ぎ捨てて
息もつかずに目に見えないほど
まるで引力みたいって思う時もあるの
あなた今までの恋人の中でも最高の部類よ
変わった愛がほしい時
あなたはいつもそばにいて 私を傷つけてくれた
踊るのよもっと早く もっと激しくもっと優しく
まるで私たちイエスとノーを両方とも
手に入れられそうだわ
というものである。
そしてこれは踊れるアルバムである。まるで熱病のように、意識を朦朧とさせるようなリズムと音、聴く時は出来る限り大音量で、しかもヘッドフォンで一人で楽しむのではなく、窓を開け近所の人に聞こえるようにプレイしよう。ご近所に迷惑をかけないのが1番ではあるが、環境が許さないのであれば、多少迷惑をかけちゃってもたまになら大丈夫でしょ(笑)。
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